マジかよ、高校生がヒッチハイクで北へ南へ飛び回ってるってうわさ。
真相を確かめに話聞いてきた。

2024年夏、この「キミヘ」の表紙を飾った小国町の高校生、アイタロー。彼のインスタをのぞくと、ヒッチハイクで日本中を、時には海外まで冒険しまくってるらしい。一体、何が彼を旅に駆り立てるんだ？どこへ向かおうとしてる？ちょっと異質な生き方を選んだ高校生の頭の中を、探ってみよう。

　―いやー、マジで旅しまくってますね！そもそも、何がきっかけだったんですか？

　小さい頃から、何か新しいことにチャレンジするのが好きだったんですよね。一人で何か作ってみたり、虫を捕まえて食べてみたり（笑）。ヒッチハイクは、高校1年の夏、国内留学の説明会で出会った島根の高校生と、高知県の高校のオープンキャンパスで再会して意気投合し、「僕らならイケるんじゃね？」ってノリでやってみたのが始まり。それが記念すべき「はじめの一歩」。そのヒッチハイクで、最初に車に乗せてくれたのが高知県のとある町の町長さんで、普段絶対に出会わないような人と出会えて、話ができて、マジで面白かった。世の中がどんどん便利になる中で、旅に出ると自分の力が試されるし、普段の生活って当たり前じゃないんだなってことも実感したんです。それから「やりたいことは全部やってやろう」って決めて、動き続けてる感じです。

　―去年の動きもハンパないっすね！

　高校の長期休みは基本、ヒッチハイクで旅してましたね。それ以外にも夏休みには、大雨被害に見舞われた遊佐町支援のため、地元・小国町で募金活動をして、必要な物資を購入して遊佐に向かい、ボランティア活動をしてきました。ほかにも「世界一周コンテスト」にエントリーしてプレゼンしたり（3次審査まで進んだ！）、友達が企画するイベントに参加したり、手伝ったり。小国町にいる時も、家にインド人の留学生が来て、世界が広がっていくような感覚があって、めっちゃワクワクしました。

　―旅の資金はどうしてるんですか？あと、ヒッチハイクって怖くないですか？

　住み込みでアルバイトをしたり、知人のインスタ運用を代行したり、イベントを作る手伝いをしたりして旅の資金にしています。あとは路上で習字のパフォーマンスをして販売したり…（実際、マニラですごく売れた！）。そもそも、旅に出るとお金の使い方を真剣に考えるから、無駄なものにお金を使わなくなりましたね。
　怖いかどうかについては、もちろん未知のものは怖いですよ。怖いですけど、そこでひるんでしまって、せっかくのご縁や人と話せる機会と隔たりをもってしまうのは、マジでもったいないと思うんです。

　―進路はどう考えてるんですか？

　今年の春から通信制高校に移りました。生きていくためには稼がないといけないし、将来的には大学で学びたい。その進路を定める前に、旅に出て、世界に出て、その場所でしか知り得ないことや見られないことにたくさん触れて、人生の糧にしたいって思ってます。

　―アイタロー君が考える、旅の醍醐味（だいごみ）って？

　旅が好き、めっちゃ好きで、なんでこんなに好きか最近よく考えるんですけど、結論は「人との出会い」なんだと思います。このタイミングでこの場所で、こんな面白い人と出会えるなんて！想像の何倍も上をいく、奇跡みたいな出来事が旅では起きるんです。旅に出るようになって「地球で生きていく」ことを意識するようになりました。効率重視の世の中で、どう人間らしく、生き物らしく地球と共存していくか。そんなことを考えるとオモロイし、考えなきゃいけないことが増えて、行動することも増えていく。すると全然退屈じゃなくなるんです。だから僕は旅に出るんだと思います。

　―地元、山形ってどんな場所ですか？

　僕をここまで育ててくれた場所。小国町、マジで大好きなんです。山や川があって、独自の文化があって、人間らしく生きられる。作った人の顔が見えるような、そういう買い物も好き。旅に出て外から自分の町を客観視できたからこそ、ますます地元の豊かさを感じるようになりました。そんな山形や東北を盛り上げていきたいから、今年の夏にイベントを企画しています。たくさんの人に山形や東北に来てもらえるように頑張ります！