2024.02.21
interview vol.1 全国選抜大会で優勝した山形中央高校弓道部男子の選手3人に聞いてみた
昨年12月に開催された弓道の全国高校選抜大会で、山形中央高校男子チームが優勝した。聞けば選手3人とも高校からの弓道デビュー、しかも体育科がある同校において全員が普通科なのだという。彼らが一体いかなる青春を過ごしているのか。優勝メンバーの小関悠太さん(部長)、千葉陽斗さん、鏡虎太朗さんに聞いてみた。
全国優勝なんて夢みたい。日常は何も変わってないけど
―全国優勝、おめでとうございます! 振り返ってみると、何が勝因でしたか?
小関 ありがとうございます。「予選突破しようぜ」くらいの気持ちで臨みましたが、いつも練習している通りにやったら結果がついてきました。
―そもそも皆さんなぜ弓道部に?
小関 体育科もある山形中央高だけに強化指定部はしんどそうだなあと思って。
千葉 中学にはなかった部活をやってみたくて。
鏡 中学ではサッカーをやっていたけど腰を痛めてしまって。なるべく動かない運動部がいいなと選びました。
―全国大会に出て優勝するなんて、相当の練習量があったのではと思ってしまいます。高校生活で何か犠牲にしたものはありますか?
小関 僕は自分で言うのも何ですが練習の虫というか、進んで居残り練習をしているので、犠牲にしているのは勉強ですかね…。
千葉、鏡 僕たちは特にないかな…。部活のあとは家に帰ってオンラインでゲームをしています。
―えー、案外ホワイトなんですね。
小関 彼らはセンスがすごくて天才タイプなんですよ。もう少し練習してほしいですけどね…。僕は凡才なので、練習します。すっかり弓道中心の生活です。こんなにのめり込めるものに出合えるなんて自分でもびっくりだし、幸せだと思っています。
―お二人から見た小関くんは?
千葉、鏡 安定感がすごい。いろんな意味で。信頼できる。
―山形中央高校の強さの秘訣は何でしょう?
小関 師弟制度ですかね。指導者の先生はもちろんですが、先輩後輩がペアになって教え合っています。ほかにもみんなでワイワイ、誰かが引くたびアドバイスをしているのが良いかなと思います。
―そうなんですね。ところで全国制覇の前と後とでは、何か変わりましたか?
全員 いやー、特に何も変わらないですね。ちやほやとかモテ出したとか何もないです。
―そうですか チーン。では最後にこれからの目標を教えてください。
小関 夏のインターハイで団体はもちろん個人でも全国大会に出たいです。選抜大会の県予選では3位でぎりぎりだったので、さらに練習あるのみですね。その先は大学に進学して弓道を続けたいです。
鏡 中学までは緊張するタイプで人前に出るのが嫌だったのですが、弓道のおかげで観客がたくさんいても普段通りに振る舞えるようになり、メンタル面の成長を感じています。僕もインターハイで団体、個人とも全国大会出場が目標。夏の団体戦は選手が5人必要なので、後輩を育てつつ自分も負けないよう頑張ります。
千葉 僕は部活の2時間きっかりでなるべく〝残業〟せず二人についていけるよう頑張ります!
〈MEMO〉 昨年10月に開かれた全国高校選抜大会県予選で優勝し、全国大会出場を決めると、12月の全国大会(東京)では予選を12射7中で通過。決勝トーナメントは1回戦から競射(サッカーのPK戦みたいな)を制すると、続く2回戦、準々決勝ともに11中の強さをみせて勝ち上がり、準決勝では網走南ケ丘(北海道)との大接戦を制し勢いに乗った。全国優勝は同校弓道部として初。大前(おおまえ、一番目の射手)を小関悠太、中(なか、二番目)を千葉陽斗、落ち(おち、最後)を鏡虎太朗の各選手が務め、特に鏡は2回戦から決勝まで皆中の無双ぶりを発揮した。山形警察署の隣に学校専用の弓道場があり、昨年4月に安土(的を置くところ)を改修したことも好成績につながったのではと顧問の小野美保教諭。